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労働衛生健康サービス処
2023.11.06
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2023年シンガポール産業医学訪問団来訪

2023年シンガポール産業医学訪問団来訪

2023年シンガポール産業医学訪問団来訪

シンガポール公衆衛生および産業医学専門学院(CPHOP)訪問団一行18人が11月2日に財団法人労災予防およびリハビリセンター(以下当センター)に来訪した。会議では新型コロナ(COVID-19)の流行に伴って発展した「ギグエコノミー」(Gig Economy)という新しい労働モデルについて、デリバリーワーカーや自営業者などの職場の保障について熱い議論が交わされ、国際的な移民労働者の労災やリハビリも関心を集めた。
 

CPHOPはシンガポール医学部に属する13支部の1つで、公衆衛生と産業医学のバックグラウンドを持つ専門家で構成されている。主に公衆衛生、産業医学、リカレント教育、後期研修医育成などの業務を提供している。今回は同学部の王兆康(Wong Shiu Hong)医師率いる台湾訪問団が当センターを訪問し、被災労働者の治療とリハビリの制度について意見を交わした。当センターの何俊傑執行長が熱烈に歓迎し、当センターが2025年にアジア産業衛生ネットワーク学会(ANOH)を開催する際は、学識経験者の指導を歓迎すると予告した。

王兆康(Wong Shiu Hong)医師

王兆康(Wong Shiu Hong)医師

労災法令の「定着」を確保 法人の努力の方向性
 

呉政龍副執行長は当センターが被災労働者の治療、リハビリ、さらには予防において重要な役割を演じていると報告した。さらに、台湾で2022年に『労働者労働災害保険および保護法』が施行されると、労働者に対する保障は労災補償から予防とリハビリに拡充されたと述べた。公共部門が法律や政策を制定すると、どのように「定着」させるかが重要な課題となる。当センターは関連する専門技術の作業ガイドラインの策定を担当する。さらに事業者のコンサルティングやトレーニングを提供し、事業部門がリスク管理を実施して労使の調和を促進することを最終目標とする。
 

呉政龍副執行長は、労働者の心身の健康を守る目標戦略についても述べた。台湾の現段階での法律の規定では健康に特別な危険を及ぼす業務の労働者が50人以上の事業部門では、雇用主が現場の健康サービススタッフを雇用または契約しなければならない。49人以下の事業部門については今のところ強制的な規定はない。この種の産業は約500万人の労働者を占めており、台湾および当センターが積極的に取り組まなければならない課題となっている。
 

台湾はデリバリーワーカーの保障ガイドラインを制定 シンガポールは移民労働者の医療保険を拡充
 

台湾の法律が企業の現場健康サービスを推進し、労働者の健康保護の定着を促進させることに対して、シンガポール訪問団は特別な関心を寄せていた。訪問団はポストコロナの時代にますます多くの自営業者がフードデリバリーサービスに従事するようになったと述べた。台湾ではこうした人々に保障制度があるのだろうか?呉政龍副執行長は、労働部ですでに関連の安全衛生ガイドラインが制定され、運営者が保険料納付や衛生教育などの責任を負うことを規定しており、同時に労災後のサポートも徹底していくと回答した。
 

このほか、国際的な移民労働者の労災の問題に直面し、会議に出席したシンガポールの学者たちはポストコロナのシンガポールで国際移民労働者の保障について2つの大きな変化があったことを紹介した。1つは法規によって強制的に建設業や製造業などの寮に住む国際移民労働者の雇用主に、毎年一定の資金の拠出を要求することである。移民労働者がシンガポールの6つの医療センターで無制限に医療を受けられるようして、移民労働者は1回の診察につき5シンガポールドル(約120台湾ドル相当)を支払うだけでよくなった。もう1つは今年7月から、雇用主に移民労働者の最低医療保険額の引き上げを要求した。現在の労働者1人につき毎年1万5000シンガポールドルから毎年6万シンガポールドル(約144万台湾ドル)に引き上げられた。

呉政龍副執行長

呉政龍副執行長

呉政龍副執行長はこれに対し、台湾の『労働基準法』では台湾籍と外国籍の労働者を区分けしておらず、労災発生後に病院で治療を受けると「同一視」されると強調した。合法的に台湾で働く外国籍の労働者は、台湾の労働者と同様に労災補助を申請できる。しかし、台湾の労災リハビリにはまだ改善しなければならない点もある。
 

呉政龍副執行長は、実務の上で台湾の医師の一部は医師と患者の関係構築に「及び腰」で、患者の早期復職に向けて積極的なアドバイスをしないと指摘した。専門的なリカレント教育は政策が推進する重要な方向で、医師が被災労働者の復職プロセスをサポートするようにする。呉政龍副執行長は「だからシンガポールのやり方を聞いてみたい」と笑った。すると会議の参加者からすぐに「我々も同じ難題を抱えているため、台湾のやり方を聞いてみたい」と反応があった。会場は笑いに包まれた。交流会は3時間近くに及んだ。双方は熱い議論を交わし、休む間もなかった。労働者の健康保障を重視する両国の姿勢と今後の交流協力の契機を示すものとなった。

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